ReBORN 荒神山 vol.2 なぜいま伊那谷にアクティビティが求められるのか?
”アクティビティパーク”へのリニューアルを控えた荒神山ウォーターパーク。なぜいま伊那谷にアクティビティが求められるのか。
長野県南部、天竜川に沿って南北に伸びる伊那谷。西を中央アルプス、東を南アルプスと2つのアルプスに囲まれた広大なエリアはいま、アウトドアアクティビティの宝庫として注目されつつある。
そんな一大アウトドアタウンのハブとして、大きな役割を果たす伊那谷の玄関口・辰野町の可能性を、長野のアウトドアシーンを牽引するキーパーソンに語ってもらった。
Illustration:TAKASHI KOSHII
Interview:呉本 圭樹さん
2つのアルプスに囲まれた広大なフィールド、生まれも育ちも伊那市という呉本圭樹さんにとって伊那谷は、子ども時代の遊び場でありパラグライダーのスキルを育んでくれた、特別に愛着のある土地である。
「初めてパラグライダーで飛んだのは、辰野町にある荒神山スポーツ公園近くの山。そこから伊那まで飛んで帰るなんてこともしょっちゅうでした」
東西をアルプスに囲まれた約50km×10kmという広大な盆地は、上昇気流の起きやすい気候に恵まれた。その上、伊那谷は航空管制区域に入っていないというから、パラグライダー乗りにとって絶好のロケーションだ。周りを取り囲む3000m級の山々ではパラグライダー、マウンテンバイク、トレイルランニングといった複数のアクティビティを組み合わせることもできる。その先に、本場ヨーロッパにも負けないエクストリームスポーツのフィールドという未来を呉本さんは描いている。
「加えて天竜川ではSUPやカヌーといった遊びもできます。5年前、ドロミテマンレース(※1)に出場したのですが、ここでならドロミテマンレースと同じ内容を再現することができる。だって、0mから3000mを超える空の上まで、最高の遊びを楽しめるフィールドが広がっているんですから」
※1 ドロミテマンレースX系レースの最高峰とされる混合レース。トレイルラン、パラグライダー、カヌースラローム、MTBの4種目で行われるスプリントレース)
Profile:呉本 圭樹さん
1978年、伊那市出身。15歳で初めてパラグライダーを経験して以来、空の世界に魅了され、インストラクターを経てプロに。6年連続アジアランキング1位、日本代表選抜、ジャパンリーグ1位などの成績を誇る、日本有数のパラグライダーフライヤー。現在は昨年に負った負傷のリハビリを行いながら競技の世界に復帰。同時に地元でアウトドアアクティビティの企画なども行なっている。
Interview:武村 信広さん
「ビギナーから上級者が交流できる施設があれば」
伊那にCLAMPあり!と謳われる、名物ショップの店長を務める武村信広さん。自転車から始まってマウンテンバイクにトレイルラン、トレッキング、テンカラと、伊那谷で楽しめるアウトドアアクティビティの可能性を自らのショップで模索する毎日だ。
「このエリアの魅力は、フィールドと生活圏が近接していること。朝、マウンテンバイクでトレイルを走ってそのまま職場へ。ここならそんな夢のような暮らしをかなえることができるんです」
絶景の山岳エリアもトレイルランやMTBで駆け巡りたい里山も、テンカラに適した沢もある。一つのアクティビティをベースに、別の種目を加えてみる。県外出身の武村さんにとって、ビギナーでもハイブリッドな遊びを実現しやすいロケーションが何よりも魅力的なのだ。
「いま、伊那谷に必要なのはアウトドアのビギナーから上級者までの受け皿となる施設なりシステムだと思うんです。いくら入り口がしっかりしていても、その先の目標を描けなければシーンは成熟しません。まずはビギナーが順を追ってスキルアップできるシステムを、そして中級者以上が目標にできるフィールドを。競技もレベルも様々な人たちが集まり、交流できるような一大アウトドアタウンに。辰野町にそんな可能性を見出しています」
Profile:バイクショップCLAMP 店長 武村信広さん
岡山県出身。大阪で自転車屋に勤めたことをきっかけにマウンテンバイクに傾倒する。バックカントリースキーのガイドを経て、バイクショップCLAMP立ち上げに携わり6年前に伊那に移住。夏はマウンテンバイクのトレイルライド、バイクパッキング+テンカラ、冬はバックカントリースキーと、フィールド三昧の一年を送るアウトドアホリック。http://clamp-bike.com
荒神山ウォーターパークからアクティビティパークへ
2018年 5月 リニューアルオープン予定
お問い合わせ先
辰野町まちづくり政策課地方創生係
TEL:0266-41-1111
MAIL:tyakuba@town.tatsuno.lg.jp